採用されている看護方式の実情

日本では主な看護方式として、プライマリーナーシングを採用している入院病棟が少なくありません。

プライマリーナーシングとは、1人の看護師が責任を持って1人の患者をケアするシステムです。プライマリーナース(担当看護師)は、担当する患者の看護計画を立てて、退院まで1人で面倒をみます。プライマリーナースの能力が十分で患者との相性が良ければ、患者の容態の変化にも気付くことができて、看護は比較的スムーズに進みますが、プライマリーナースの経験が浅く患者のケアが不十分だと患者に不満が生じることもあります。プライマリーナースのスキルのレベルによって、看護のレベルも変わってくるのです。

プライマリーナースになるには、ある程度の実務経験が必要で、新人1人に任せることはありません。こうしたプライマリーナーシングの短所を補うのが、チームナーシングです。チームナーシングとは、病棟看護師がチームを編成し、グループで看護を行う看護方式です。

チームナーシングでは、1人の患者を複数の看護師でケアするため、看護のスキルの格差を減らしてくれます。ベテラン看護師がチームリーダーとなり看護を指揮して、チームメンバーの看護師同士で情報共有を綿密に行い、患者の容態について十分な知識を得るよう配慮することになっています。

チームナーシングは、リーダーとなるベテラン看護師のやり方しだいで看護の内容が大きく変わります。ただ、メンバーはリーダーの顔色をうかがってしまい、受動的な姿勢になりがちなので、新人育成のうえでは問題があると言われています。また、患者の情報を共有するための打ち合わせの時間が多く、看護に集中できないというデメリットも指摘されています。